飲食店業界 コロナで命運が分かれた焼き鳥屋 大吉と鳥貴族
今回のコロナが原因で飲食業界は多大な影響を受けました。
その中で同じ焼鳥チェーン店の『大吉』と『鳥貴族』この二つのチェーン店では大きな命運が分かれました。
この記事を見てくれた方は今後飲食店の独立開業を行うにあたっての店舗規模が大きいことのデメリットや多店舗展開のリスクやその回避の仕方がわかります。
焼鳥チェーン店の『大吉』と鳥貴族はご存知でしょうか?
『大吉』は主に住宅街や郊外に店舗展開を行い、客席15席ほどの小規模のお店がほとんどです。
『鳥貴族』は繁華街に多くの店舗がありますが、駅前1等地には出店せず2階や駅から少し離れた2等地、3等地に店舗展開を行い、客席30席〜40席ほどの中規模のお店がメインです。
どちらのお店も坪単価を比較的抑えて出店し、同じ焼鳥居酒屋です。
また客単価も約二千円前後と似ていて、メイン商材の焼鳥も自店で串打ちを行い材料も国産の鶏肉を使用するなどメイン商材の価値も似ています。
しかし今回のコロナで『大吉』は比較的ダメージが少なく、『鳥貴族』はかなりの苦戦を強いられています。
この違いはなんでしょうか?
違いの中に今後の飲食店が生き残れるヒントがあります。
それぞれの店舗のビジネスモデルの違いで検証してみます。
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『大吉』は小規模店のため消費者とお店の距離感が近かった為コロナ時でも常連の来店があった
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坪単価が安い点は同じだが規模が大きくなると家賃も高くなる為『鳥貴族』は固定費が負担になる
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『大吉』は主にフランチャイズ形式、『鳥貴族』は直営店のチェーン店
以上の3点が今回のコロナでの命運を分けた原因です。
『大吉』は小規模店のためお店と消費者の距離感が近い
『大吉』は客席15席ほどの小さいお店で店長と従業員1人で満席を回せるお店です。
そんなお店ですからお客様も気軽に店長や従業員と会話をしたり、もっと仲良くなればSNSなどで繋がっているお客様もいるでしょう。
つまり従業員とお客様の繋がりが濃いのです。
そうであれば「お店が大変そうだから売上に少しでも貢献しよう」とお店自体を応援してくれる方が多く存在します。
反対に『鳥貴族』は席数もそこそこにある為従業員を多く雇用して、シフト制でお店を回し、店長も毎日お店に出ているわけではないので『大吉』ほど濃い関係をお客様と作るのが難しいです。
これを読んでいる方もイメージしてみて下さい。
こじんまりしたお店で店主と物理的距離が近いお店なら多少コミュニケーション能力があれば気軽に声をかけて仲良くなる事はできます。
しかしファミリーレストランなどの広いお店で店長と仲良くなれる人はなかなかいないと思います。
この違いがコロナの外出自粛の中での売上の違いに出た要因です。
そこそこ大きなお店だとお客様も自分が行かなくても潰れないだろう(他の客が来るだろう)とみんなが思うために特に理由がないので来店しなくなってしまったのです。
規模が大きくなれば家賃も高くなり人件費も上がる
1坪あたりの坪単価が安くても坪数が大きければ家賃も高くなります。
そして席数が広いと常時配置しておかなければならない従業員の人数も増えるため当然人件費も高くなり総じて経費が大きくなっていきます。
『鳥貴族』は通常なら同じ客単価なら多少家賃が高くなっても席数が多いためお客様を『大吉』よりたくさんお店に入れられます。
満席で入店できない、つまり機会損失がなくなるので売上も大きくなり利益も増えます。
しかし今回のコロナの影響で来店客数は激減して店舗が大きいメリットは一切なくなり削れない経費が多いというデメリットしか残りませんでした。
フランチャイズ形式と直営店
『大吉」はフランチャイズ形式、鳥貴族は直営店です。
これがコロナの影響の命運を分けた1番の原因でしょう。
フランチャイズ形式とは、オーナーが個別で『大吉』本部と契約をして出店しています。
つまり『大吉』は、チェーン店ですが各店舗全て違うオーナー(会社)が運営しているということです。
反対に直営店は『鳥貴族』本部が社員を雇って店長に任命してお店を運営しています。
今回のコロナの協力金、補助金等は店舗ごとよりも各会社に支給する事がほとんどでした。
したがってフランチャイズ形式の『大吉』は各店舗すべてに協力金等が支払われたのに対し、直営店の多い『鳥貴族』は本部(1店舗)にしか協力金が支払われなかったのです。
そして『大吉』本部は「焼鳥屋」ではなく「焼鳥屋を作るノウハウ」を売る会社なので飲食店業界がダメージを受けてもそこまで直接的なダメージを受ける事が無かったのです。
これは今後店舗展開をするにあたっての重大なポイントになります。
今回のコロナでの売上減、ネックになったのが家賃と人件費です。
家賃は立地等の問題で仕方のない部分が多いですが、人件費は直営店を増やすと必ずその分増えていきます。
そして店舗が閉店した場合、その店舗で賄っていた人件費を既存の店舗で負担しなくてはなりません。
当然増やした従業員(正社員)は解雇することはできません。
つまりその分リスクも増えていくことになります。
フランチャイズ形式ならオーナーとの契約なので今回のような事が起きて、万が一閉店の店舗が増えても売上は減少しますが人件費の負担は増加しません。
今後の多店舗展開する場合は今回の災害に備えてフランチャイズ本部を目指した方が良いという結論になります。
まとめ
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小規模店舗は中規模、大規模店舗よりも消費者との距離感が近いので常連客を作りやすい
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規模が大きくなれば機会損失が少なくなり利益も増えるが固定費や人件費が増えてリスクも大きくなる
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経費が大きくなるリスクを回避したい場合、直営店を増やすのではなく「お店のノウハウ」を売るフランチャイズ本部を目指す